特集

2022.4.22

第46回「木村伊兵衛写真賞」を写真学科卒業生吉田志穂さんが受賞

誰も見たことがない新しい風景を写真で表現していきたい
芸術学部 写真学科 2014年度卒業 吉田 志穂さん

吉田 志穂

 2014年度東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。東京都を拠点に活動
 主な展覧会に「日本の新進作家 vol.18」(東京都写真美術館、東京、2021)
「とどまってみえるもの」(横浜市民ギャラリーあざみ野、神奈川、2021)など

受賞作品
 ?写真集「測量|山」(T&M Projects)
 ?写真展「測量|山」/「砂の下の鯨」(NADi? Gallery)
 ?写真展「余白の計画」TOTAS-Emerging 2020」(トーキョーアーツアンドスペース本郷)
 ?グループ展、あざみ野フォト?アニュアル「とどまってみえるもの」 (横浜市民ギャラリーあざみ野)
 ?グループ展「記憶は地に沁み、風を越え 日本の新進作家 vol.18」(東京都写真美術館)

木村伊兵衛写真賞の受賞おめでとうございます

 この度、第46回『木村伊兵衛写真賞』を受賞することができ大変光栄です。まさか自分が受賞できるとは思っていなかったので、今も驚いています。この2年間は、個展やグループ展、写真集を発表するなど活動できる機会が多く、展示のインスタレーション(展示空間を含めて作品とみなす手法)も審査員の方に評価していただけました。コロナ禍で美術館などで展示が中止になっていた中、若手作家の展示は運営の方にご尽力頂き滞りなく活動できたことに感謝しています。

吉田さんが写真を撮り始めて今に至るまで

写真集「測量|山」(T&M Projects) ?Shiho Yoshida courtesy of Yumiko Chiba Associates

 私は高校時代に写真部に入部したことがきっかけで、写真を撮るようになりました。大学生になり、フイルムカメラの勉強をするようになってから現像作業にのめり込み、1、2年生の時は大学の暗室に通う日々を過ごしました。3年生になり、講評が厳しくなっていく中でただ綺麗な写真を撮るのではなく、自分にしかできないようなオリジナリティを模索するようになったことが現在の活動に繋がっています。

現在の撮影表現は、どのように生まれたのか

 在学中に自分の写真になにか別のアプローチができないかと考え、1枚の絵に対してレイヤーをつけていくという表現方法に変わってきました。私の作品には複数のシリーズがありますが、現在行っている表現は学生の時から変わらないです。制作の過程は、始めにインターネットで気になるトピックスや場所の画像を検索し、セレクトした画像とともに現地へ行きます。そして現地で、検索画像を入れ込んで撮影をしたものを持ち帰ってから暗室などで加工を行っていきます。インターネットで検索することから始めるというのは生活の延長線上の行為で、自分のオリジナリティとしてそういった要素を取り入れていこうと思ったのがきっかけです。在学時に教授に教えていただいた、「自分の中にしかないコンセプトが大事だ」という考えは、今でも大事にしています。

後輩たちへ

 学生のみなさんにお伝えしたいのは、写真が上手くなりたいと思ったらとにかく人の作品を見ることが一番勉強になるということです。私は展示が好きなので、評判が良い展示は遠方でもできる限り見に行くようにしています。美術はトレンドの変化が速いので、今どのようなものが流行っていて評価されているのか、時代の流れを知ることも大切です。中野キャンパスには学内に写大ギャラリーがあり、良いプリントがたくさんあるので見るだけでもとても勉強になると思います。私自身、学生さんの参考になるような展示をしているので、ぜひギャラリーや展示に足を運んで欲しいです。

木村伊兵衛写真賞とは

 日本写真界の芥川賞とも呼ばれ、日本写真界の発展に寄与した第一人者?木村伊兵衛の功績を記念すべく、朝日新聞社によって1975年に創設され、プロ、アマチュアを問わず、毎年時代を切り開く優れた作品を発表した新人写真家に贈られてきました。

※所属?職名等は取材時のものです。

写真学科

実践的な教育が写真に関わる全ての仕事で通用する真のプロを育てる。

1923年創立の「小西写真専門学校」をルーツとする本学科は、日本で最も長い歴史と伝統を誇る写真教育機関です。90年以上の歴史の中で培われた教育ノウハウは、他校の追随を許しません。写真技術だけでなく芸術分野の専門科目を学ぶことで総合力を習得。写真に関わるあらゆる領域で活躍できる真のプロフェッショナルを育てます。