特集

2024.1.16

近代美術館「ガウディとサグラダファミリア展」を終えて

東京国立近代美術館で開催された「ガウディとサグラダ?ファミリア」展に
工学部工学科建築コース建築意匠Ⅰ研究室(山村研究室)の学生らが参加

「ガウディとサグラダファミリア展」
会期:2023年6月13日(火)~9月10日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー

 建築家でありガウディ研究者でもある山村健准教授が、企画アドバイザーおよび空間デザイナーとして参画した「ガウディとサグラダ?ファミリア」展(2023年6月13日(火)~9月10日(日)まで東京国立近代美術館で開催)において、建築意匠Ⅰ研究室の学生たちが制作したガウディの幾何学原理を示す5つの立体模型が、参考出品として展示されました。
 会期終了後、山村准教授と学生たちに、今回のこの活動を振り返っていただきました。

学生が試行錯誤して制作 学び多き5つの模型

 山村研究室の学生たちが制作したのは、サグラダ?ファミリア聖堂を構成する幾何学原理を示した5つの立体模型、単双曲線面模型?双曲線面模型?双曲線面ヴォールト模型?ラセン模型?錐状面模型です。これらは、“どんな曲面も全て直線に分解できる”ということを直観的に理解してもらうための展示品だったと、山村准教授は言います。「サグラダ?ファミリア聖堂をはじめとするガウディ建築は、一見すると非常に複雑そうに見えますが、原理はとても簡単です。ガウディは、形の発見を自然界から得ていたと言われていますが、その原理の根本には、線で分解できる幾何学があります。模型をみると、いずれの形も全て直線に分解できることに気づきます。ガウディは、こうした数々の立体幾何学原理を、図学を学んでいない職人とのコミュニケーションツールにしていました」。
 模型の制作に際して山村准教授は、作りたい模型の原理のみを伝え、プロセスは伝えず、そこから考えるように課しました。「学生たちはチームで試行錯誤しながら、2か月くらいかけて5つの模型を完成させました。自分たちで手を動かしたことで、様々な気づきがあったのではないかと思います」。
 実際に模型制作に携わった学生たちに感想を聞くと、「材料選びが一番大変でした。展示を意識して模型を作るのも初めてで、良い経験になりました」「実際に模型を作ったことで、ガウディ建築への理解がより深まりました」「ガウディに触れ、設計には多角的な視点が必要だということを学びました」といった声が挙がりました。

建築家?ガウディ研究者としての空間デザインへのこだわり

 さらに学生からは、「山村准教授が手がけた展示、空間デザインに感動しました」という声もありました。事実、そこには相当なこだわりを詰めこんでいたと、山村准教授は話します。「“展示品をネットワーク化して来館者が全体像を構築する展示構成”、簡単に言えば、順を追って展示を見ていくうちに、サグラダ?ファミリア聖堂を体感できる、全体像を理解できる、分かった気になって帰れる、そんな空間の作り方にこだわりました。例えば、展示室の一部に使用した『ガウディ?ブルー』は、カーペット、壁紙、什器と、それぞれの青のトーンをかえることで、ガウディが職人に伝えたとされる青の定義、“暁の地中海の青”を表現していたのです」。
 東京国立近代美術館でのガウディ展は無事に終わりましたが、まだまだやりたいことがあると山村准教授。「ガウディの研究テーマは尽きません。ガウディと写真という観点で、東京工芸大学ならではの研究ができたらと、考えています。一人ではできませんので、企業の協力や学生のエネルギーを借りながら、実現していきたいですね」。

※所属?職名等は取材時のものです。

化学?材料コース

学生一人ひとりの興味に応じた専門分野を学び社会で求められる建築のプロを目指す

少人数制の設計製図演習、充実した実験設備、そして教員と学生の距離の近さが最大の魅力。建築関連の基礎知識に加え、得意分野に合った専門知識を学ぶことで、建築の専門家を目指します。「建築」「構造」「環境」の3分野のデザインをバランスよく習得できる点も特徴です。